あの時獄寺さんは 「こいつには無理だ」 と言いました

 

今ならやっとその言葉の意味が判るような気がします

 

ツナさんにはとうに出来ていた覚悟


ハルは何にもわかってなかったんです

 

 

 

その色が、赤だと知った。

 

 

 

 

情報部の末席に名を連ねてから 一ヶ月位経った頃でしょうか

 

何の気なしに窓から外を眺めていると ツナさんと山本さんが本部に帰ってきたんです

 

 

血塗れになって

 

 

ハルは心臓が止まる程驚いて すぐさま駆けつけました

 

幸いそれは返り血で 二人共かすり傷程度で済んでいました

 

心配するハルに ツナさんは大丈夫だよと笑います

 

 

 

硝煙の臭いと真っ赤な手

 

 

でも

 

 

ツナさんも山本さんも 何事も無かったように日常へ戻っていきました

 

 

 

 

その夜

 

家でハルは泣きました

 

余りにも無知だった自分と 余りにも甘かった自分が

 

酷く情けなくて 許せなくて

 

ただツナさんの傍にいたかった それだけでイタリアまで着いてきたのに

それが何を意味しているかなんて知りませんでした 気付こうともしなかったんです

 

マフィアとは 闇の世界

命を狙われる事は勿論 人殺しなど日常茶飯事

 

 

真っ白な手のままでは 生きてはいけない世界だったのに

 

 

 

 

ふと

 

其処まで考えてわかっちゃいました

 

ハルはツナさんに 守られていたんですね

 

ハルの真っ白な手が赤く染まらないように 自らの血塗れた手で

 

 

 

ハルとは違う その手は あまりに 遠く

 

 

 

 

ねぇツナさん ハルの覚悟が足りなかったんでしょうか

 

こんな風になりたかった訳じゃないんです

 

友達とも連絡を絶って 住み慣れた国を捨てて それでも望んだ事は

 

 

貴方の隣に居ることだった

 

 

でも真っ白な手のハルは ツナさんの傍にいるようでいて実は 一番遠い所にいたんですね

 

 

 

 

自分の真っ白な手を眺めながら ハルはいつでも夢見ています

 

いつかこの手を血に染めて

 

 

貴方と肩を並べる日を

 

 

 

私は。

 

 

 

-Fin-