空から降る
幾千もの純白の天使達
それらは皆
全ての人の心に
届くだろう
Buon Natale!! 〜メリークリスマス!!〜
学校も冬休みに入り珍しく午後まで寝てしまった今日。
起きて枕元に置いてある携帯電話を開いてみると一通のメールが届いてる。
送信者を見ると『恭弥』の文字が。
『今日6時応接室』
・・・ぴしっ
おぉっと携帯に亀裂が。
え?決して『たかがその程度でメールするんじゃねぇよ』とか思ってませんよ?
ふふふ。
6時って何だろう。何かしたっけ?
思い当たるものが多すぎる・・・。
『まぁ6時まで待ちましょ』
そう思いながらぱたむと携帯電話を閉じるとベッドから降りる。
さて、お昼は何を食べよう?
「わ゛ーーーーっ!」
走ってます。すっごく走ってます。
ちなみにここは家を出て数歩離れた道。
そして携帯電話のデジタル時計が表す時刻は5時58分。
ここから並盛中学校まで訳10分ちょっと。
完 全 遅 刻 ☆
あー!と電話なんてしたから!
〜回想〜
夕方頃部屋の掃除を終えてゆっくりしていた時の事、唐突に電話が鳴った。
「はい」
『あ、もしもし姉さん?』
「あぁ」
『わぁ!やっぱり電話でと私を間違えないの姉さんだけだ!』
「ハイハイ。で、どうしたの?父さんが死んだ?」
『それを望みたいところだけど残念。お正月の事で電話したの』
「正月?何で?」
『父さんと母さんが姉さんを連れt「却下」
『まだ最後まで言ってないってば』
「予想はつくから言わなくて良いよ。父さんに『ふざけんな』って伝えておいて」
『えー来年姉さんに会えないの?』
「来年は忙しいの。帰ってる暇なんて無いわ」
『今年ドタバタしてて全然会えなかったじゃない。も会いたいって言ってたよ?』
「とは来る事を許可する」
『あはは。ありがたき幸せ〜』
「あ、これは真面目な話。そっちはどう?変わりは無い?」
『あぁ、皆元気で変わりは無いよ。あ、そういえばこの前ね―――』
それから延々と話は続いた。
〜回想終了〜
それから長電話をしたのがいけなかった!
仕方ないじゃん!久々だったんだもん!
向こうの事気になったんだもん!
走る事数分、並盛中に到着。自己新記録?全国大会行けるかもね。
「・・は・・っぜぇ・・・はぁ・・」
肩で息をしながらも昇降口へと足を進める。
あーあ、髪も服装も乱れちゃった。
寒さ?吹っ飛びましたよ。
「随分と遅いじゃない」
頭上から怒りというよりも呆れた様な声が落ちてくる。
人が一生懸命走って来てやったのにそういう事言うか風紀委員長め!
上目遣いに思いっきり睨むと、その様子を見てふっと笑った。
「まぁいいや。待ってて」
そう言われてから程無くして恭弥は目の前まで降りてきた。
私の呼吸は大分整っている。そして私の手を引くと一言。
「行くよ」
おいおい。
「何処行くの?」
「ついてくれば分かるよ」
学校裏まで来るとバイクに乗るように促される。
「ヘルメットは?」
「にはいらないでしょ」
「殺す気デスカ」
「いいから早く乗ってよ」
なんなんだコノヤロ。
ふぅとため息をつくとバイクの後ろに乗る。
いつもみたいに。
「行くよ」
「ん」
音を立ててバイクが走り出す。頬を撫でる冷たい風はあまり感じない。
「ついたよ」
止まったバイクから降りるとそこはおなじみ並盛商店街。
「何があるの?」
「美味しいケーキ屋を草壁が見つけたらしくてね。を連れてってあげようかと思って」
珍しい
「・・・頭打った?」
真剣な表情で問うと、眉を寄せて怪訝そうに言った。
「ねぇ、今日何の日か分かってる?」
「プラスチックゴミの日」
「そんなくだらない日のこと聞いてないよ」
「プラゴミの日大事だよ!週一度しかないんだよ!?今日逃したら次まで捨てられないんだよ!?」
「僕が知った事じゃないよ。ていうか分別は草壁達にやらせるし」
ガーッと音を立てて自動ドアが開かれる。すると中から熱風が吹いてきた。
「ケーキ・・・ケーキ屋・・・」
顎に手をあて暗唱するように悩んでいるとまた手を引かれる。
「こっち」
窓際のテーブル席へと促される。
迎合わせに席に座るとすぐさま店員がやってきた。
恭弥は何かを注文すると、店員はすぐ下がっていく。
店員が来た時に置かれていった水に手をつける。
「まだわからないの?」
「だーかーら!プラゴミの日!!」
「だから違うってば」
そんなことを数分言い合っていると店員がやってきた。
「お待たせいたしました」
目の前にロールケーキにクリームでデコレーションされた木を思わせる様なケーキが置かれる。
それに添えて綺麗な琥珀色の紅茶も置かれる。
「? Bois à brûler de Noël(ブッシュドノエル)?」
そう発音すると少し恭弥は目を見開いた。
「へぇ。フランス語も話せるの」
「少しだけね」
手に持っていた水の満たされるコップを机に置く。
「そっか。今日はクリスマスだったのね」
去年までは家族で過ごしていた事を思い出す。
「忘れてたの?」
「クリスマスぶっ飛んでお正月の事しか考えてなかった」
それにキリスト信者じゃないし、と不貞腐れた様に言うと恭弥は可笑しそうに笑った。
フォークを取ると、白地に青で絵の描かれる皿の上のケーキにフォークを入れる。
ロールケーキを口に運ぶと、甘酸っぱい苺の味が口いっぱいに広がった。
程よい甘さのクリームにしっとりとしたスポンジ生地との相性がいい。
「んっ!おいしい!」
「よかった」
満足そうに恭弥が微笑んだ。それにつられて私も微笑む。
もう一口、と食べてもしつこくない味。
「連れてきてくれてありがとう」
そういうと少し恭弥は目を見開いてまた笑う。
「どういたしまして」
ケーキを食べた後、少し休憩してから店をあとにする。
「美味しかったー」
「またいつでも連れてってあげる」
「うん」
自然と繋がれた手。
真っ直ぐ商店街を歩いていくと中央の広場に大きなツリーが光り輝いていた。
「・・・メリークリスマス、だね」
「うん。Merry Christmas,」
「Buon Natale,Kyouya」
輝くイルミネーションの下
舞い落ちる雪の中
私と貴方と
一緒にいられる幸せ
* * * * *
『Lovers Concerto』神龍紅桜姫様のクリスマスフリー配布夢です。
速攻でお持ち帰りさせて頂きました。
前半ギャグながら、少しずつ甘くなっていく感じが堪りません。
二人の「絆」を感じられる爽やかで素敵な夢です!
紅桜姫様、有難うございました!!!