まぁ私も甘いものは嫌いじゃないので。
甘いものに目が無いというのも理解できます。
が。
五千人ものファミリーを率いるキャバッローネ10代目ボスよ。
・・・・・それでいいのか。
灰色の夢
「違うって、何がですか?」
「さんの事は、ハルが無理を言って聞き出したんです!」
「・・・・・・・はあ」
よく分からないながらも頷くと、ハルは両手を祈るように組んであらぬ方を見つめた。
「あれは良く晴れた秋の日でした・・・・・」
何故に語りモード。
周りは慣れているのか、誰も突っ込まない。
助けを求めてこういう事を嫌いそうな恭弥の方へ視線をやるが、我関せずでそっぽを向いている。
使えねぇ。
取り敢えずそれから延々と続いたハルの話を要約すると。
ある日ボンゴレに来たディーノ一行は、打ち合わせの為にこの部屋に来た。
彼はボンゴレのボスと二人で話をしていたが、突然何かしらの問題が起こり、30分程中止せざるを得なかった。
その頃紅茶を持って来たハルは、ボスが席を外すとディーノと二人きりに。
普段からよく目を掛けてくれるので、ハルはいつものように珍しい情報はないかと尋ねた。
すると私の事を思い浮かべたらしい彼は、『一応』約束を思い出して挙動不審になり。
興味を引かれたハルは彼の大好きな甘いもの・・・・その時はクレームブリュレだったそうだが・・・・をちらつかせ。
「ディーノさん、傍に部下の人が居ませんでしたし、へたれでホント助かりました!!」
喋らせた、らしい。
「・・・・・・・つまり、私はクレームブリュレに負けたと・・・・・・?」
「いやあれマジで美味かったんだって!こいつの菓子はプロ級なんだよ!!」
「そうですか。・・・・涙が出るほど嬉しいですよ」
(ちょ、ディーノさん今のは駄目ですってば!)
(え!?)
聞こえてるっつーの。
全く。美味しいものを出されたら何でも喋るのかあんたは。
「いいですもう。この話は終わりにしましょう」
どういう経緯かはわかった。
これからは気をつける。
言いふらされて困るような事はこの男には言わない事しよう。
「それで、今日はどうなさったんです?・・・というか、私が聞いてもいいことですか」
「ん?あ、そうだな・・・・・」
「ディーノさん、彼女はどうです?優秀なんでしょう」
ふと、いきなりボスが口を挟んできた。
物凄く楽しそうな笑みを浮かべている。何なんだ。
そしてその言葉を受けて、ディーノが驚いたように私のほうを見た。
「―――あぁそーか。お前が居たな」
目から鱗。そんな言葉が頭に浮かぶ。彼は正にその状態だった。
・・・・・何か、嫌な予感がするんですけど。